ジョン・フィリップ・スーザ
John Philip Sousa
プロフィール
ジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa, 1854年11月6日 – 1932年3月6日)は、アメリカ合衆国を代表する作曲家・指揮者であり、「マーチ王(The March King)」の異名で知られています。
『星条旗よ永遠なれ(The Stars and Stripes Forever)』や『ワシントン・ポスト(The Washington Post)』『雷神(The Thunderer)』など、100曲を超える行進曲を作曲しました。
これらの作品は今日でも世界中の吹奏楽団によって演奏され、アメリカ音楽の象徴的存在となっています。
生涯と経歴
スーザはワシントンD.C.に生まれ、若くして音楽の才能を発揮しました。
父親がアメリカ海兵隊軍楽隊の隊員であったため、1868年にスーザ自身も見習いとして海兵隊に入隊します。
その後、音楽理論や作曲をジョン・エスプータとジョージ・フェリックス・ベンケルトに師事し、ヴァイオリン奏者としてキャリアを積みました。
1875年に海兵隊を退役した後は、ワシントンやフィラデルフィアの劇場でヴァイオリン奏者・指揮者として活躍します。
1880年に再び海兵隊軍楽隊に復帰し、同隊の指揮者として12年間にわたり指導を行いました。
この時期に彼は数々の名行進曲を作曲し、アメリカの軍楽文化を飛躍的に発展させました。
1892年に海兵隊を退任すると、自身の民間楽団「スーザ吹奏楽団(Sousa Band)」を結成。
彼らはアメリカ全土およびヨーロッパ各地を巡演し、華やかで洗練された演奏により大きな人気を博しました。
第一次世界大戦中には、再び軍務に復帰し、海軍軍楽隊訓練所の所長として若手音楽家の育成にも尽力しました。
スーザの作品は、明快なリズム、豊かな旋律、そして力強いブラスサウンドが特徴です。彼の音楽はアメリカの愛国心を象徴し、式典や行進の場で広く親しまれています。
1932年、ペンシルベニア州レディングで客演指揮中に亡くなりましたが、その遺産は今もなお世界中で生き続けています。
年 | 出来事 |
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1854年 | 11月6日、アメリカ・ワシントンD.C.に生まれる。父親はアメリカ海兵隊軍楽隊のメンバー。 |
1868年 | 13歳のとき、父の勧めでアメリカ海兵隊軍楽隊に見習いとして入隊。音楽理論と作曲をジョン・エスプータとジョージ・フェリックス・ベンケルトに師事。 |
1875年 | 海兵隊を退役し、ワシントンやフィラデルフィアでヴァイオリン奏者・指揮者として活動。 |
1880年 | 海兵隊軍楽隊の指揮者(バンドマスター)に就任。以後12年間にわたり楽団を率いる。 |
1889年 | 代表作《ワシントン・ポスト(The Washington Post)》を発表し、大ヒットとなる。 |
1890年 | 行進曲《士官候補生(The High School Cadets)》を作曲。 |
1892年 | 海兵隊を退任し、自身の民間楽団「スーザ吹奏楽団(Sousa Band)」を結成。アメリカおよびヨーロッパ各地で公演を行う。 |
1897年 | 代表作《星条旗よ永遠なれ(The Stars and Stripes Forever)》を作曲。アメリカの「国行進曲」として後に制定される。 |
1900年代初頭 | 世界各地でツアーを行い、スーザ吹奏楽団が国際的な人気を得る。 |
第一次世界大戦期(1917年頃) | 再び軍務に復帰し、海軍軍楽隊訓練所の所長として若手音楽家を育成。軍楽少佐に昇進。 |
1932年 | ペンシルベニア州レディングで客演指揮中に死去。享年77歳。最後に指揮した曲は《星条旗よ永遠なれ》だったといわれている。 |
スーザの功績と影響
スーザは、行進曲という形式を芸術の域にまで高めた作曲家です。
彼の作品は明快なリズムと力強いブラスサウンドを特徴とし、祝典やパレードなどで今なお愛されています。
特に《星条旗よ永遠なれ》はアメリカの愛国的象徴として知られ、演奏のたびに観客の心を奮い立たせます。
また、スーザは演奏面だけでなく、楽器の改良にも大きく貢献しました。
マーチングバンドでの演奏を容易にするためにチューバを改良し、「スーザフォーン(Sousaphone)」を考案しました。
この楽器は彼の名にちなみ命名され、現在も多くの吹奏楽団で活用されています。
スーザ吹奏楽団は、当時のアメリカ文化を世界に広める役割を果たし、ヨーロッパや南米、日本にも影響を与えました。
彼の存在は「吹奏楽」という音楽ジャンルを確立する礎を築いたといっても過言ではありません。
代表的な作品
- 《星条旗よ永遠なれ(The Stars and Stripes Forever)》1897年
- 《ワシントン・ポスト(The Washington Post)》1889年
- 《士官候補生(The High School Cadets)》1890年
- 《雷神(The Thunderer)》1889年
- 《自由の鐘(Liberty Bell)》1893年