保科洋
Hoshina Hiroshi
プロフィール
保科洋は東京都に生まれた日本の作曲家・指揮者であり、日本の吹奏楽史を語るうえで欠かすことのできない存在です。
1960年に東京芸術大学作曲科を卒業し、同年の第29回毎日音楽コンクール(現・日本音楽コンクール)作曲部門(管弦楽)で第1位を受賞しました。
以後、作曲家としての活動と並行して教育者としても活躍し、東京音楽大学、愛知県立芸術大学、兵庫教育大学などで後進の指導にあたりました。
また、岡山大学交響楽団の常任指揮者を長年務め、同団を全国有数の大学オーケストラへと成長させました。
教育・指揮・作曲の三分野で多大な功績を残し、2015年には瑞宝中綬章を受章しています。
年表
年(西暦) | 年齢 | 出来事 |
---|---|---|
1936年頃 | 0歳 | 東京都に生まれる |
1960年 | 24歳 | 東京芸術大学作曲科卒業。第29回毎日音楽コンクール作曲部門第1位受賞 |
1966年 | 30歳 | 岡山大学交響楽団常任指揮者に就任 |
1970年代〜 | - | 東京音楽大学、愛知県立芸術大学、兵庫教育大学で教鞭をとる |
1991年 | 55歳 | 日本吹奏楽学会アカデミー賞(作曲者賞)受賞 |
2001年 | 65歳 | 兵庫教育大学を定年退職。名誉教授となる |
2008年 | 72歳 | ホルン協奏曲《巫女の舞》がイタリア・ポルチア国際ホルンコンクール本選課題曲に採用される |
2015年 | 79歳 | 瑞宝中綬章受章 |
2016年 | 80歳 | 兵庫県文化功労賞を受賞 |
音楽的特徴と作風
保科洋の音楽は、日本的な情緒と構築的な形式美を併せ持つ点に特徴があります。
彼の吹奏楽作品には、自然や祈り、再生といったテーマが多く見られ、緻密な和声構成と豊かな旋律美が融合しています。
特に《風紋》や《復興》に代表されるように、静寂の中に力強さを感じさせる音楽性が高く評価されています。
また、アマチュア団体の指導経験を活かし、演奏効果を的確に計算した実践的な作曲法も持ち味の一つです。
そのため、彼の作品は教育的にも芸術的にも優れたレパートリーとして広く演奏されています。
主な作品
- 《風紋》(1976年)
彼の代表作の一つであり、日本の風土と自然を音で描いた名曲です。 - 《古祀》(1977年)
古代日本の祭祀をテーマにした作品で、荘厳な響きが特徴です。 - 《復興》(1996年)
阪神淡路大震災の被災地に向けた祈りと希望の音楽。 - 《祈りの時》(2001年)
人間の内面と平和への願いをテーマにした作品。 - 《巫女の舞》(ホルン協奏曲、2008年)
日本的要素を織り交ぜた旋律とリズムで構成され、国際的にも高く評価されています。
教育者としての功績
保科は指揮者・教育者としても非常に高い評価を受けています。岡山大学交響楽団を全国屈指の大学オーケストラに育て上げたほか、全国各地で吹奏楽やオーケストラの指導に携わりました。
特に「アマチュアのための指揮法」に関する理論を体系化し、後進の指導者育成にも力を注ぎました。2017年には「保科洋指揮法クリニック」を設立し、全国の指導者へ独自の理論を伝えています。
最終更新: 2025年10月13日