エル・カミーノ・レアル

El Camino Real

オリジナル
グレード:
10:00
最終更新: 2025年10月13日

作曲者・編曲者

解説

《エル・カミーノ・レアル(El Camino Real)》は、アメリカの作曲家アルフレッド・リード(Alfred Reed)が1984年から1985年にかけて作曲した吹奏楽の名曲です。
タイトルの「エル・カミーノ・レアル」はスペイン語で「王の道」を意味し、カリフォルニア州に実在する歴史的街道の名でもあります。
リードはこの名にインスピレーションを得て、王の行列が進む壮麗な情景を思い描きながら作曲したといわれています。

本作は、ジョージア州ロビンズ空軍基地(Robins AFB)の第581空軍軍楽隊と、指揮者レイ・トウラー中佐の委嘱によって制作されました。
初演は1985年4月15日、フロリダ州サラソータで行われています。日本では1986年5月9日、大阪府音楽団定期演奏会(森ノ宮ピロティホール)で日本初演が行われました。

作品の魅力

本作は、スペインの伝統的な舞曲リズムやフラメンコ音楽の特徴を巧みに吹奏楽の響きに取り入れた作品です。
リードは、何世代にもわたってフラメンコ・ギタリストたちが用いてきたコード進行や旋律をもとに、独自のラテン的エネルギーと華やかさを持つ楽曲に仕上げました。

構成は「速い—遅い—速い」の三部形式を採用しており、冒頭の部分はスペイン北部の舞曲「ホタ(Jota)」に基づき、続く中間部は「ファンダンゴ(Fandango)」のリズムをもとにしています。
これらの対照的な要素が織り交ざることで、異国情緒あふれるドラマティックな展開が生まれています。

また、ブラスセクションによる力強いファンファーレや、クラリネットやフルートによる流麗な旋律など、リードらしい明快な管楽器の書法も光ります。
全体を通して高い演奏技術が求められる一方、音楽的完成度の高さから世界中の吹奏楽団で頻繁に演奏される人気曲です。

出版と演奏

楽譜はアメリカのE.B.マークス社から出版され、日本では東亜音楽社からも販売されたことで広く普及しました。
演奏時間は約10分で、華やかでスケールの大きなサウンドは、コンサートのメインプログラムとしても高く評価されています。

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参考サイト

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