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アーセナル(アルセナール)

Concert March “Arsenal”

行進曲
難易度:
最終更新: 2025年9月20日

作曲者・編曲者

作曲: ヤン・ヴァン・デル・ロースト(Jan Van der Roost)

解説

「アルセナール」は、1995年にベルギー・メヘレンの鉄道工場吹奏楽団「Harmonie van het Spoorwegarsenaal」の創立50周年を記念してヤン・ヴァン・デル・ローストによって作曲されたコンサートマーチです。 翌年に初演され、以来、世界各国で広く演奏される人気曲となりました。

この作品は、イギリス式の格調高い式典行進曲をモデルとしており、実際のパレード用というよりはコンサートホールでの式典や記念演奏、アンコールに適した曲調を持っています。 演奏時間は約3分半から4分で、変ホ長調・2/4拍子、テンポは四分音符=108と指定されています。

構成は伝統的なマーチ形式に基づき、ファンファーレ風の序奏、木管による軽快な主題提示、金管による華やかな展開、優雅なトリオ、短調に転じるブリッジを経て、壮大なクライマックスで締めくくられます。 中規模から大規模の吹奏楽編成を想定しており、木管・金管・打楽器をフルに用いた華やかな響きが特徴です。 特にグロッケンや打楽器群の効果が音楽に式典的な輝きを添えています。

出版はオランダの De Haske Publications より行われ、吹奏楽団の定番レパートリーとして定着しています。

演奏上の注意点

  • 冒頭のファンファーレは堂々と力強く始め、全体の曲調を決定づける存在感が求められる。
  • **主題部分(木管群)**は軽快かつ明確なアーティキュレーションを意識し、伴奏とのバランスを取る。
  • **トリオ(中間部)**は雰囲気を一転させ、柔らかく優雅に歌い上げる。旋律が重くならないよう注意。
  • **ブリッジ(短調部分)**では緊張感を十分に表現し、クライマックスへの布石を意識する。
  • 終結部は全合奏での迫力が重要だが、ただ音量を大きくするのではなく、縦のラインを正確に合わせ、華やかで格調高い響きを目指す。
  • 打楽器群は音量だけでなく音色を選び分け、式典的な輝きとリズムの推進力を演出する役割を担う。

この曲は技術的な難度は中上級程度ですが、式典的な格調やマーチ特有のリズム感を表現する音楽性が重視されるため、シンプルであるほどに演奏の質が問われる作品です。

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