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アルヴァマー序曲

Alvamar Overture

オリジナル
難易度:
最終更新: 2025年9月20日

作曲者・編曲者

作曲: ジェームズ・バーンズ(James Barnes)

解説

「アルヴァマー序曲」は、1981年にアメリカ・カンザス州ウィチタ地区の公立中学校選抜吹奏楽団および指揮者ロバート・ホロウェルのために作曲された吹奏楽作品です。 タイトルの “Alvamar” は、作曲者バーンズが住むローレンス(カンザス州)にあるゴルフ場 “Alvamar Country Club” の名に由来します。

曲は三部形式(A–B–A)を採用しており、急-緩-急 のテンポ構成が特徴です。 冒頭の Allegro Vivo(四分音符=132拍程度)で始まり、次に Adagio(♩=66)で抒情的な中間部をはさみ、最後に最初のテンポへ戻って勢いよく閉じる構造になっています。

演奏時間は公式には約 8分26秒。 日本ではこのテンポよりもかなり速く演奏されることが多く、その速さがこの曲に対する聴衆の印象を強くしています。

楽譜はアメリカの Belwin Mills Publishing Corp. から出版され、日本国内・東アジア向けには東亜音楽社でも出版されました。

演奏上の注意点

  • 冒頭の Allegro Vivo 部分では、金管・打楽器を中心にエネルギーを持って立ち上げること。勢いは大事だが、全体のアーティキュレーションが曖昧にならないよう注意。
  • 木管群(フルート、クラリネットなど)の動きが細かく速い部分では、パッセージの明瞭さとリズムの正確性が求められる。特に三連符や複符形の移行部分において。
  • 中間部(Adagio)ではテンポを落とすだけでなく、音色の柔らかさや音楽の歌わせ方を重視し、聴く者に抒情性を届けること。ホルンやサクソフォン、木管ソロが味を出す要。
  • 再現部(最後に冒頭の急の部分へ戻るところ)では、コントラストを鮮明にし、急-緩-急の変化が生きるように音量・ダイナミクスを丁寧に操作すること。
  • クライマックスでは、全パートが一致して盛り上げるが、大音量だけでごまかさず、縦のハーモニーやリズムのアンサンブルを重視する。
  • テンポ設定については、作曲者指定のテンポを尊重すること。速すぎる演奏は聴衆には刺激的であるが、作品の意味や抒情部分の重みを失う危険があるため、指揮者・団員双方でバランスを話し合うこと。